ChatGPT登場から3年、人々の「検索行動」はどう変わったのか?
ChatGPTの登場から3年が経過し、人々の情報収集スタイルが従来の検索エンジンからAIチャットボットへと大きくシフトしている現状について、最新のレポートを元に解説します。
2022年11月の公開から3年が経過した現在、OpenAIのChatGPTは単なる「便利なツール」を超え、人々がインターネットで情報を探す際の「最初の入り口」としての地位を確立しつつあるようです。最新のレポートによると、従来のGoogle検索やYouTube、音声アシスタントに代わり、まずはAIチャットボットに質問を投げかけるという行動様式が定着してきていることが明らかになりました。
The ChatGPT effect: In 3 years, the AI chatbot has changed the way people look things up
「情報の玄関口」としてのAI
ミシシッピ州立大学の研究者らによる記事によると、かつてはGoogleの検索窓に入力したり、YouTubeで検索したりしていたような日常的な疑問への回答を、今では多くの人々がChatGPTに求めるようになっているとのことです。
公開からわずか数ヶ月で週間アクティブユーザー数が1億人に達したChatGPTですが、2025年後半にはその数が8億人にまで急増したと報じられています。Pew Research Centerによる2025年の調査結果として紹介されているデータによれば、米国の成人の34%がChatGPTを利用した経験があり、特に30歳未満の若年層においては58%に達しているそうです。
検索トラフィックへの甚大な影響
この「ChatGPTエフェクト」とも呼べる現象は、既存のウェブサービスに大きな影響を与えているようです。
記事では、プログラミングQ&Aサイトとして知られる「Stack Overflow」における質問数が減少していることや、Google検索からニュースサイトへの流入が大幅に落ち込んでいることが指摘されています。
特に注目すべきは「ゼロクリック検索」の急増です。ユーザーが検索結果ページやAIによる要約だけで満足し、情報元のウェブサイトをクリックして訪問することなく検索行動を終えるケースが増えていると分析されています。これにより、多くのウェブサイト運営者がトラフィックの減少という課題に直面しているとのことです。
大手検索エンジンの対抗策
こうした変化に対し、検索エンジンの巨人であるGoogleも静観しているわけではありません。記事では、Googleが自社のAIシステム「Gemini」を検索結果に直接統合し、「AI Overview(AIによる概要)」機能を提供することで対抗している状況も触れられています。これにより、単純な質問であれば検索結果ページ上で即座に回答が得られるようになっています。
まとめ
登場からわずか3年で、私たちの「検索」という行為そのものを再定義してしまったChatGPT。情報の探し方が「リンクを辿る」ことから「AIに対話で尋ねる」ことへとシフトする中で、ウェブ全体の構造や情報の流通経路もまた、大きな転換点を迎えていると言えそうです。